数年前のこと。ようやく猛暑が去った9月の下旬頃、わたしはビジネスランチで銀座にいた。食後よく晴れた昼下がりの並木道りを歩き出すと、暖かさもあいまってちょうど全神経がお腹に集中し初める頃、今にも横になりたいアンニュイな気分がおそってきた。ビルの浅谷間を時折ゆっくりとタイヤを滑らせる高級車、そして艶やかな街路樹の木漏れ日が揺れる淡いレンガ色の舗装路をセンスの良い人々が闊歩する。まるで時計を巻き戻したルノアールの絵画のような雰囲気に慕っていた時のこと。
前方にクリーニング仕立ての赤茶色のトラ模様ダッフルコートを着たような猫が丁寧に毛繕いしていた。近寄ったが逃げないし、ビロードのような体も触らせてくれる。鼻の周りと手足・お腹が真っ白で、「可愛ってくれる主人がいて良かった」なんて思っていた時、突然ごろんと横になった。「わたしもニャンとも眠くてたまらないの」と聞こえてきたような・・そしてころりん運動が始まった。
アレイキャットドゥalleycat do
小道や路地を闊歩している猫。その生き方は彼らなりのルールはありながら、自由気ままでマイペース。 もともと野生だった彼らは、いつの間にか人間と共存共栄することになった。私達は彼らから心のときめきとやすらぎを貰い、その引き換えに彼らは、私達から生きて行くための糧を求めるのだ。彼らの唯一の所有物である毛で覆われた身体を大事に毛繕いする姿を見ているとなぜか、いとおしさを感じると共に、対照的に私たち人間がいかに無厭足(十分であっても満足することが無い意味)であるかを思い知らされる。そんな私達の一番みじかな所にいる彼ら猫達の魅力を引き出していきたい。
ennui
2015年5月20日水曜日
2012年4月13日金曜日
ソウルフルネコ
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| 猫の屋根裏部屋へようこそ |
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| ここが私のお気に入り |
ソウルの明洞にある猫カフェに行って来た。雑居ビルの6階、エレベーター降りてすぐのところに入り口が。
ガラス越しに動くぬいぐるみのような猫たちがわんさと見える。意気揚々と靴箱に靴を収めて入ろうとすると、関所のように店の女の子が前を立ちはだかる。「オソオセヨ」とあいさつしながら右手には消毒液。手をきれいにしていよいよ中へ。まずはワンドリンク付き8000ウオン(約560円)を払い私はカフェモカを注文(意外に美味しい)。そして、日本語で書かれた注意事項を読まされ、荷物はすべてビニール袋に入れて座席の後ろに置いた。いよいよ猫たちとご対面。
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| 日本人観光客が多い店内 |
週末のこともあり、地元の人よりも日本人が多い。殆どの人たちもそうだが、席に着くや否や運ばれて来たカフェを一口飲んでお目当ての猫まっしぐら(笑)。店内は清潔で、大きな窓ガラスになっているのでとても明るい。臭いも無く、猫の毛も飛んでいない。空気が淀んでないことにも感激。私たちもかれら猫のリズムにとけ込む。
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| 何見てんのよ! にゃんともあんにゅい |
高いところの好きなかれらのペントハウスはどこも満員御礼。時たま動くこともあるが、雲の上にいるごとく、フワフワと浮いている気分が伝わってくる。
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| 食事はちゃんと座ってするのよ |
お腹が空けば、カリカリの食事と噴水式の水飲み場がある ところが、それで飽き足らないかれらは、カウンターのところで販売しているウエットの食べ物(私たちが購入してあげるようになっている)の後ろのスペースを陣取る。それはまるで争奪戦のごとき、あらゆる猫が入れ替わりやってくる。
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| 早く食べたいにゃー |
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| 誰か美味しいのを購入して |
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| トイレマナーはバッチリよ! |
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| 何が動いているのかしら? |
その中で、猫のカタログでしか見たことのない無毛種で有名なスフィンクスがいた。「超極上のスゥエードのようにしっとりとした肌触り」を確かめたくて撫でてみたが、以外にもわずかに生えている毛がザラザラとしていて少しがっかり。
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| 他(ねこ)人の関係 |
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| ふたりの世界 |
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| フローリングは苦手なの |
幸いなことに、かれらには外に出られる自由はないが、ここのスタッフさんに可愛がられて飢えと寒さも免れている。そして、自分に与えられた環境にしっかりと順応して淡々と生きているのだから。
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| 外の世界って? |
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| 日向ぼっこ |
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| わたしをお家に連れてって! |
2012年1月4日水曜日
ニューヨークの猫わたしを招く
ここ数年間ニューヨークを訪れるたび必ず足が向かう所がある。14丁目ユニオンスクエアー北にあるペットショップだ。ペットショップといっても日本のように可愛らしい犬や猫が販売されている訳ではない。あとから分かったことだが、ニューヨークシティでは
生体展示販売禁止を条例化する動きが活発化しているのだ。
生体展示販売禁止を条例化する動きが活発化しているのだ。
築数十年はたっていると思われる立派な建物の1階のコーナーの二重扉(ニューヨークの冬は零下になることが常で、外気がそのまま店内に入ってこないような工夫がされている)を開けたところから物語は始まる。
会計をするたびお客さんに「少し寄付してもらえませんか?」と呼びかけをしているレジを横目に通り過ぎる。体育館のように広く天井も高いその店内を流れにそって行くと通路両脇に、カラフルな犬用の小物からフードなどがクリスマスシーズンもあいまって賑やかに展示されている。目移りしながらさらに奥に進むと、私のお目当てが出てくる。
入ってすぐ左側に 「Cat Adoptions」 と上の方に大きく書かれた下に、猫たちのケージが並ぶ。それはまるで三階建て約10棟横に並ぶ広めのアパートといった感じだ。身体の大きい老猫と思われるもの意外は大抵2〜3匹一緒に入居している。
ここはいつ訪れても、東京のとあるペットショップに入った時の特有の悪臭が殆ど無い。ちょうどボランティアの20代前半くらいと思われる女性が、猫のケージを清掃していたのでいくつか質問をしてみた。「全くと言って良いくらい臭いがしないけど?」
「わたしたちは猫がトイレを済ませたら、直ぐにそれを始末しているからよ」
「餌はどうしているの?」
「ショップの協力と、寄付金(入り口のテーブルの上に募金箱が置いてある)で賄っていて、ドライとウエットの両方を1日3回あげているわ」
「何人くらいのボランティアの人たちがいるの?」
「全部で何名くらいか分からないけどシフト制で、日に4人が交代で朝のオープンから夜のクローズまでいるわ。あなたも興味あるならそこのパンフレット持って行って!」
そして彼女は、「ヘンリー」とタグに名前が記されているケージの中の猫を抱き上げ、ハグしたあと膝に乗せてブラッシングを始めた。ヘンリーは彼女のひざから落ちないように小さく爪を立て、気持ち良さそうにのどをゴロゴロさせる。私も思わずその毛並みに指がのびた(本当は猫に触れる時、手の消毒が必要)。 ケージのところに貼られているタグは猫たちの紹介文で、名前・性別・毛色そしてあとは様々なことが書かれている。それも仕方ないことで、猫たちのここに連れてこられた理由がそれぞれ異なるからだ。
昨年訪れた時は、事情があり飼えなくなって連れてこられた老猫たちが目立った。中には「兄弟なので必ず一緒にもらってほしい」等。ところが、今年は捨て猫や公園などをうろついているところ保護されて来た猫の方が多いとのこと。性別は半々位。去勢手術は原則的に半年以上の年齢に達してからするものだが、ケースバイケースのようだ。毛色はBrown tabby(キジトラ)が7割位と圧倒的に多く、次がTuxedo(黒白)だ。本当にタキシードを着用しているようで、中にはちょびひげまで付けているものがいた(笑)。あとは白がベースで模様が入っているもの、グレイなど。まれに純血種やそのミックスもいるが、殆どは雑種。共通することは、日本の猫と比べると、身体が1,5倍は大きい。
(欧米ではミューミューと聞こえるらしい)と泣き叫ぶ声が聞こ
えてきた。人間に例えると、小学校低学年の子供がお母さんに何
かを要求している時の「ネーネーってば」だ。生後6ヶ月メスの
ソニアである。ボランティアが他のものにかまけていて自分の番
がなかなか回ってこないので、意を決して訴えていると思われた。
すると、ボランティアの女性が順番をかえてソニアを抱き上げた。
ここではあらゆる人間模様、ではなく猫模様がうかがえる。

年齢は記されていないブラウンタビーのオス、ラッセル。大きなお尻を正面に向けて寝ている。身体は中年太りで毛並みに艶がないところから推定7〜8年か?「ラッセル!」と呼びかけると、「何だうるせーな」とでも言わんとばかり、のっそりと眼を半開にして顔をこちらに向けてくれた。
右端の中段に入居していたのは少し気品が漂うホワイト&グレイのメス猫カルメン。12ヶ月。スイートで愛らしく、あなたのベストフレンドに!夜は一緒に寝ます。と記されている。「カルメン!」と声をかけると、ぎりぎりまですり寄ってきて、のどをならしながら大きな身体でお手をしたり頭をまわし始める。愛嬌いっぱいに振る舞うそのさまに、なんだか胸が痛くなった。こんな立派に成長したレディーにいったい何があったのか?少しの間メランコリーに落ち入ってしまった。
おとなしく順番待ちをして、やっとボランティアに遊んでもらっているのは、シルバータビーのオス エルトン 年齢10ヶ月。片目が痛々しい。記されては無いが、おそらく栄養失調か事故により失明したのだろう。
最後に、角の曲がったところの真ん中の居住者。「チューブ7ヶ月&チャップリン8ヶ月オス。ホワイト&タビー。コメディアンチームであなたを笑わせます。一緒にもらってね!」と記されている。一匹はケージの奥で熟睡中。チューブと思われる方がケージギリギリまで寄って来た。まだあどけなさの残る清らかな目がきらきら眩しい。白いひげも身体も全く汚れていなく、真っ白。形の良い鼻は水分を含んだ柔らかそうな薄ピンク色。首には真新しい、赤い鈴がぶら下がったクリスマスツリーの模様入りの赤いベルトがしてある。「ここどこなんだろう?」と、呟いているように私は感じた。もし、私がニューヨークに住んでいたら今日にでも引き取って家に連れて帰りたいと強い衝動に駆られながら、しばらく時間を忘れたたずんでいた。
2011年10月23日日曜日
ねこまんじゅう釈迦
ニューヨーク3rdAv.ミッドタウンにあるWine&Spiritsのショップ。日中ショーウィンドウの片隅を、もはやオブジェ化したねこまんじゅうのブラウニーが陣取っている。
黄昏時がせまってくると、お腹に目覚まし時計がセットされているが如きムックリと起き上がり、まずは大あくび、ストレッチを始める。そして、ガードマンさながら店内を一周する。巡回が終わるや否や、この店のオーナーと思われる中高年カップルのマダムたちによる恒例ぎょうじ、接吻ぜめに。それに黙って従ったあとは、彼女たちの生活感みなぎる健康的な足にまとわりつきながら、猫なで声で夕食をねだる。大降りミート缶は、ボールにあけられたとたん瞬く間に、ペチャペチャガツガツと音を立てながら、その上品な口元から想像がつかないくらい勢い良く吸い込まれていく。その後はお決まりの毛繕い。最初は広げた手のひらを丁寧になめる。次に奇麗にした手のにく球の部分をうまく使い、顔をくるくるとマッサージするようになでまわす。(その手が耳の後ろまでかかると、よく雨が降ると言われている)。つづいてピンク色のざらざらした小さいけど長めの舌が、背中からお腹、だいじなところ、そして足の付け根からピンと延ばした足先の指までまんべんなく体中をはう。
おうまがとき(逢魔時)、ついに彼の出番がめぐってくる。入り口正面レジ前カウンターの横に置いてあるからだが少しはみ出るかごの中を陣取る。そこから店に入ってくるお客を、ほとけ様のような半眼と白ひげで品定めをするのだ。
通りでは、コートの襟を立て家路を急ぐ人たちが往来する。そのうち一人二人と晩酌の一本をもとめ、白い息をはきながらドアを押し開ける。買い物を済ませた客は、彼に声をかけ、頭とからだをなでまわし、おやすみのあいさつをして満足げに店をあとにする。猫をかぶるようにおとなしく愛嬌をふりまくのも彼の役目だ。
さて、この時間帯からは昼間と打って変わり、さすが人種のるつぼニューヨーク、魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした何かに取り付かれたようなストレンジャーがドアをこじあけるように入ってくることもしばしば。
(そもそもお酒と神様との関係は太古のむかしから世界中どこでも関係が深い。日本で酒好きな神様といえば帝釈天(インドラ神)や龍神様が浮かんでくるが、お酒の神様は?と問いかけられると一番に出てくるのは、ローマ神話に登場する最高神ゼウスと人間の女性セメレとの間に生まれたバッカスだ。のちにブドウの木の栽培方法とワインの作り方をうみだしたことから、お酒の神様と言われるようになった。性格は優しさと、酒につきものの狂乱じみた所もあったようだ。その原因は生まれ落ちる前の不遇な出来ごとによるものらしい。
ところで、人間も長い年月をつみかさねて行くうちに、建前というよろいかぶとで身体を覆い自分を防御するようになるが、いつのまにかその重みに押しつぶされそうになり、身動き出来なくなる。そういった時お酒は、つかの間でもよろいから解放された素の自分を取り戻してくれる神薬だ。ところが、ことわざにある「過ぎたるは及ばざるがごとし」のように反面、取りすぎると魔薬にかわる)。
酩酊して我ここに有らず状態になるとあらわれるバッカスの狂乱面も手伝い、たががはずれて日頃の憂さを晴らそうと、さらにお酒をもとめに来るストレンジな客を彼ブラウニーは見逃さない。彼の触覚でもある長いひげがケイレンを起こしたように小刻みにゆれだすのは、何か異様な気配を感じた時だ。すくっと立ち上がり、目の瞳孔がひらき、全身の毛は山あらしのように荒々しく、尻尾はやく3倍の太さに。福まねき猫から突然、魔ものに化け、人間には見えない敵を威嚇しはじめる。すると、それらの客はまるで借りてきた猫のようにおとなしくなり店を出て行く。それを見とどけた彼は得意げに定位置にもどる。
二人のマダムたちにとってブラウニーは、ねこまんじゅう釈迦?
黄昏時がせまってくると、お腹に目覚まし時計がセットされているが如きムックリと起き上がり、まずは大あくび、ストレッチを始める。そして、ガードマンさながら店内を一周する。巡回が終わるや否や、この店のオーナーと思われる中高年カップルのマダムたちによる恒例ぎょうじ、接吻ぜめに。それに黙って従ったあとは、彼女たちの生活感みなぎる健康的な足にまとわりつきながら、猫なで声で夕食をねだる。大降りミート缶は、ボールにあけられたとたん瞬く間に、ペチャペチャガツガツと音を立てながら、その上品な口元から想像がつかないくらい勢い良く吸い込まれていく。その後はお決まりの毛繕い。最初は広げた手のひらを丁寧になめる。次に奇麗にした手のにく球の部分をうまく使い、顔をくるくるとマッサージするようになでまわす。(その手が耳の後ろまでかかると、よく雨が降ると言われている)。つづいてピンク色のざらざらした小さいけど長めの舌が、背中からお腹、だいじなところ、そして足の付け根からピンと延ばした足先の指までまんべんなく体中をはう。
おうまがとき(逢魔時)、ついに彼の出番がめぐってくる。入り口正面レジ前カウンターの横に置いてあるからだが少しはみ出るかごの中を陣取る。そこから店に入ってくるお客を、ほとけ様のような半眼と白ひげで品定めをするのだ。
通りでは、コートの襟を立て家路を急ぐ人たちが往来する。そのうち一人二人と晩酌の一本をもとめ、白い息をはきながらドアを押し開ける。買い物を済ませた客は、彼に声をかけ、頭とからだをなでまわし、おやすみのあいさつをして満足げに店をあとにする。猫をかぶるようにおとなしく愛嬌をふりまくのも彼の役目だ。
さて、この時間帯からは昼間と打って変わり、さすが人種のるつぼニューヨーク、魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした何かに取り付かれたようなストレンジャーがドアをこじあけるように入ってくることもしばしば。
ところで、人間も長い年月をつみかさねて行くうちに、建前というよろいかぶとで身体を覆い自分を防御するようになるが、いつのまにかその重みに押しつぶされそうになり、身動き出来なくなる。そういった時お酒は、つかの間でもよろいから解放された素の自分を取り戻してくれる神薬だ。ところが、ことわざにある「過ぎたるは及ばざるがごとし」のように反面、取りすぎると魔薬にかわる)。
酩酊して我ここに有らず状態になるとあらわれるバッカスの狂乱面も手伝い、たががはずれて日頃の憂さを晴らそうと、さらにお酒をもとめに来るストレンジな客を彼ブラウニーは見逃さない。彼の触覚でもある長いひげがケイレンを起こしたように小刻みにゆれだすのは、何か異様な気配を感じた時だ。すくっと立ち上がり、目の瞳孔がひらき、全身の毛は山あらしのように荒々しく、尻尾はやく3倍の太さに。福まねき猫から突然、魔ものに化け、人間には見えない敵を威嚇しはじめる。すると、それらの客はまるで借りてきた猫のようにおとなしくなり店を出て行く。それを見とどけた彼は得意げに定位置にもどる。
二人のマダムたちにとってブラウニーは、ねこまんじゅう釈迦?
2011年10月11日火曜日
タビにマタタビはどうか?
私が初めて猫のタビに会ったのは、今から約6〜7年前ニューヨーク滞在中のこと。
まつげも凍りそうな寒い日、友人の良子さん宅を尋ねた。玄関が開くとともにタビがWelcomeと言わんとばかりすり寄ってきた。彼の身体は日本の猫の比でないくらい大きく、トラ模様のいっちょうらいの足元は、真っ白な足袋を履いたようないでたちをしていた。(彼の名前の由来はそこから来ているらしい)(笑)。冬場零下10度くらいになるのは当たり前のニューヨークだが、アパートの中は大抵Tシャツ一枚で過ごせるくらいぽかぽかで、猫にとっても極楽。
そんな訳で彼は、よく延びては部屋中飛び回り、のどをゴロゴロならしながら人懐っこくまたすり寄ってくる。どの友人が遊びにきてもすぐスリスリ寄っていくそうで、芸者猫とあだなを付けられていた。彼を抱き上げるとずっしりと重く暖かくて、やわらかな毛並みが自然と頬ずりを促す。遠慮がちにつめを立てる。そしてピカピカに磨いたビー玉のような目の奥からキャッテエレジーが何となく聞こえてきた。
良子さんいわく、「友人が彼女と別れた時、飼っていた猫のうち彼女は購入した血統証付きの方を日本に持ち帰り、タビは置いてきぼりにされたもう一匹の猫で、その友人から、落ち着くまで少しの間あずかって欲しいと頼まれたまま今に至っているのよ」と。
まつげも凍りそうな寒い日、友人の良子さん宅を尋ねた。玄関が開くとともにタビがWelcomeと言わんとばかりすり寄ってきた。彼の身体は日本の猫の比でないくらい大きく、トラ模様のいっちょうらいの足元は、真っ白な足袋を履いたようないでたちをしていた。(彼の名前の由来はそこから来ているらしい)(笑)。冬場零下10度くらいになるのは当たり前のニューヨークだが、アパートの中は大抵Tシャツ一枚で過ごせるくらいぽかぽかで、猫にとっても極楽。
そんな訳で彼は、よく延びては部屋中飛び回り、のどをゴロゴロならしながら人懐っこくまたすり寄ってくる。どの友人が遊びにきてもすぐスリスリ寄っていくそうで、芸者猫とあだなを付けられていた。彼を抱き上げるとずっしりと重く暖かくて、やわらかな毛並みが自然と頬ずりを促す。遠慮がちにつめを立てる。そしてピカピカに磨いたビー玉のような目の奥からキャッテエレジーが何となく聞こえてきた。
良子さんいわく、「友人が彼女と別れた時、飼っていた猫のうち彼女は購入した血統証付きの方を日本に持ち帰り、タビは置いてきぼりにされたもう一匹の猫で、その友人から、落ち着くまで少しの間あずかって欲しいと頼まれたまま今に至っているのよ」と。
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